こんにちは!はしもとです。
前回は、フットプリント割り当てと基板外形作成について書きました。
今回は部品配置について書きます。
部品配置を丁寧にできれば、配線がすごく楽に進められるので、焦らず慎重に進めていきましょう!
はじめに
今回は、下図の赤枠に示した、部品配置について書きます。
部品配置のやり方
部品配置のやり方やノウハウは、既に先輩方がたくさん書いています。
- ショウのマイクロマウス制作-Part22
- マイクロマウス研修(のり)[6]KiCAD基板配線とノイズ
- 回路初心者のM5Stack基板製作:部品配置と配線 – ししかわのマウス研修 Part.40
- 基板設計part3 ピン配置の工夫 – しゅうの自作マウス研修 part29
- アートワーク②:マウス研修(しおたに)44
本記事では、部品配置のやり方を順を追って説明すると共に、
自分が気になった点をメインで書いていきます。
デザインルールの設定
最小配線幅やビアの大きさの最小値を予め設定します。
この設定をやらないと、知らず知らずのうちに配線幅がかなり小さい状態で配線してしまい、基板の発注時に「この配線幅は小さすぎるので実装できません」となり、発注ができないです。
すべて配線し終わってからやると、手修正に手間がかかるので部品配置を始める前に予め設定しておきましょう。
設定方法はのりさんのブログを参考にしました。
マイクロマウス研修(のり)[5]KiCADデザインルール(Elecrow)
フットプリントの読み込み
KiCad 5までは、フットプリントを基板上に表示するために、ネットリストの出力&読み込みをする必要がありました。
今回使用したKiCad 6ではこの作業が必要なくなりました(参考:KiCad 6でネットリストを出力するには?)
回路図上部のメニューから、下記画像の赤枠のボタンを押すだけで基板上にフットプリントを表示することができます。
また、回路図を修正した場合は、PCBエディタ上部のメニューから、下記画像の赤枠のボタンを押すことで回路図内の変更点を基板に反映することができます。
(参考:Getting Started in KiCad – 5.3. Importing Changes From Schematic)
フットプリントが読み込めればモジャモジャとしたフットプリントが表示されると思います。
部品配置
先程の適当に置かれている部品を、機能毎にだいたいで置いていきます。
自作マウスのおおよその部品配置は以前のブログで紹介しています。
ラッツネット(配線すべきパッド同士を結ぶ白い線)が気になると思いますが、
この段階では一旦無視して、後の工程で修正します。
このときに特に注意したことを以下にまとめます。
その他の注意すべき点は、前述した先輩方のブログにも載っているので参考にしてみてください。
電源周りの部品はなるべく一箇所に集める
電源周りは流れる電流が大きいので、必然的に配線の太さも太くなります。
太い線が基板上を張り巡ると、基板の表面積内の自由に使えるスペースが減ってしまいます。
なので、電源周りの部品は一箇所にまとめたほうがよいです。
パスコンはICの近傍に置く
パスコンはノイズを防ぐために付けます。このとき、ノイズを載せたくないICとパスコンとの距離が遠いと、想定した効果を得られなくなります。
(参考:ノイズ対策を考慮したプリント基板設計のポイント – パスコンはICの近傍に配置する)
また、パスコンとは?という方向けに以前解説記事書きました。
水晶振動子、セラミック発振子はマイコンの近傍に置く
ノイズを載せないようにマイコン近くにこれらを置きます。
(参考:水晶やセラミック発振子を使った発振回路の設計方法は?)
モータ下にはIC部品を置かない
モータ系の部品にはモータを回転させるために比較的大きい電流を流す必要があります。
そのような大きい電流が流れると磁界が発生してしまい、その影響でその他のICにノイズを与える可能性があるので、モータ下にはIC部品を置かないほうがよいです。一方で、抵抗やコンデンサは置いても問題ないです。
スイッチ周りは最後に部品配置する
スイッチはとりあえず繋がれば動作するはずなので、重要な部品を先に置いてからで問題ないです。
配線を意識しながら部品位置を整えていく
部品配置の目標
ある程度基板内に部品が置ければ、部品位置を整えていきます。
この作業が一番時間がかかりました^^;
まず、何をもって部品配置が完了するか目標を決めます。
今回の目標は、
「各ラッツネット(配線すべきパッド同士を結ぶ白い線)がなるべく交差しないように部品を配置する」
です。
ではなぜラッツネットが交差すると良くないのか考えていきましょう。
例えば、ラッツネットが交差した状態で次の工程の配線を行なったときを考えます。
このとき、ラッツネットが交差しているので、その交差を配線でなんとか解決しないと繋ぎたい部品同士を繋ぐことができないです。
配線での解決策は以下の通りです。
ただ、これらはまわりに部品や配線が無い場合や裏配線が無い場合など、条件付きです。
なので、条件を満たせない場合は、また部品配置を修正する必要があります。
少しの部品配置の修正で解決すればよいのですが、もし解決しない場合部品配置の大幅な修正が必要です。
更に、部品配置の大幅な修正をすると、これまでやってきた配線もまた修正する必要があります。
これを繰り返すと、以下のようなループに入ってしまい、時間がかなりかかってしまいます。
実際自分もこのループに入ってしまい、かなり苦労しました。
部品配置→配線→部品配置→配線→部品配置→・・・・・
そうならないように、予め部品配置の段階でラッツネットの交差を減らすことで、上記のループに入ることを防ぎましょう。交差していなければ、特に考えず部品同士を繋げば問題ないはずです。
部品配置でラッツネットの交差を防ぐ方法
部品配置でラッツネットの交差を防ぐ方法として、主に以下の2つだと考えます。
上図の補足を以下に書きます。
- 部品を移動・回転
部品の位置関係を変えるだけで交差をなくせることがあります。
また、部品自体を回転させることでも交差をなくせます。
例えば自分の場合は、交差を減らすためにマイコンの向きを斜めにしました。
- ピン機能の割り振りを修正する
マイコンのピンとIC部品から出ている線が交差している場合は、マイコン側のピン機能を変更することも考慮に入れたほうがよいです。
例えば、同じ機能をもつ左前の壁センサ(LED+フォトトランジスタ)と左の壁センサのピンを入れ替えることはできます。ピンを入れ替えることで、ラッツネットが変わり、交差がなくなることがあります。
ここまでで、ラッツネットの交差を防ぐ方法について書きました。
ただ、目標で「各ラッツネット(配線すべきパッド同士を結ぶ白い線)がなるべく交差しないように部品を配置する」と書いたように、完璧に交差をなくすことは難しいです。
自分が部品配置した下画像のように、どうしても交差してしまうところはあります。
ただ、交差している箇所が少ないほうが配線はスムーズに進められるので、なるべく交差はなくしたほうがよいと思います。また、交差していても「配線するときはこうやってつなげよう」という考えがあれば、問題ないと思います。
レビュー&修正
ここまでで、部品配置した結果をレビューに出します。配線したあとに、部品はここにおいたらいけないみたいなことが発覚した場合、手戻りが大きいので、この段階でレビューに出すことをお勧めします。
まとめ
本記事では以下の内容についてまとめました。
自分は、部品配置を疎かにしたせいで、次の作業の配線でかなり苦労しました。
このような自分の苦労話は、過去のブログにまとめているので、お時間あればぜひ!
今回はここまでです、それではまた〜!