こんにちは、しおたにです。
足回りの設計はできたのでメインフレームについて今回は書きます。
基本構造
よくあるマウスの構造を見てみます。
フレームの固定方法はこの図のように、
基板にマウンタをねじ止めなどで固定するのがオーソドックスなやりかたです。
吸引ファンを搭載する場合、マウンタからフレームを伸ばして固定します。
キャンバー角をつけたい
以前、旋回性能を高めるためネガティブキャンバー角(正面からみたときタイヤを内側に傾ける)をつけることにしました。
マウンタに工夫が必要
このキャンバー角を実現するにはマウンタごと傾斜するのが一番単純な構造になりますが、先ほど紹介したような基板にねじ止めする際に気になる点がいくつかあります。
↑の図はマウンタの固定構造を正面からみた図です。
マウンタの形状に注目してみましょう。マウンタの底部(基板と接する部分)が斜めにカットされています。しかもこの面から穴が空いています。
CNCフライスで加工するには
今回はCNCフライスで板材から削り出してマウンタを作ります。
CNCフライスは上面からの加工しかできません。このため、側面の加工は掴みかえ(加工部品の固定を途中でやり直すこと)が必要になります。掴みかえは面倒なのと位置ズレが生じるので避けたいですがマウスのような小型部品では仕方ない部分もあります。
問題は端面が斜めという点です。斜め方向に加工が必要ということは斜めに部品を固定できなければなりません。
部品を斜めに固定するにはアングルバイスのように角度がつけられる固定具を使うか、普通のバイスに傾斜角度に合わせた三角形や台形の治具を一緒に挟んで斜めに固定する方法が考えられます。
また、固定後の位置合わせの方法も考えなくてはなりません。
別の構造を考えたほうが良さそうですね…
吸引に耐えられるようにしたい
吸引をする場合、マシンの中央付近の吸引ファンから下向きの力が加わることになります。
このため、基板が下にたわみ、はんだ付け箇所にクラックが生じることがあるようです。
これを抑えるためにマウンタ間に“梁”を渡してマシンの剛性を高めることが良くあります。
今回の構造で梁を追加した場合どうなるかというと、
マウンタの上面にも斜め加工が必要な箇所が出現します。先ほど紹介した通り加工が面倒になるわけです。
マウンタをちょっと傾けるだけなのにいろいろと弊害が出てきますね…
キャンバー角も梁も同時に解決する
冒頭の構造ではマウンタを傾けて固定するのが面倒であることと、梁を渡すのはさらに面倒であることを説明してきました。
そこで今回は部品の持つ役割を変えることで同時に解決することにしました。
赤くなっている部分が梁になります。
従来はマウンタを基板に固定していましたが、梁を固定し、梁にマウンタを取り付ける構造としました。
マウンタの前後は凸型に突起があり、梁に空けた穴に差し込むようになっています。
マウンタは車軸がある方向から加工し、梁はマウンタを差し込む方向から加工します。
梁の上面と下面にネジ穴をあけなければなりませんが、傾斜面ではなく、他の加工面と垂直な面に穴をあけるため加工難度は低めになっています。
今回気を付けた点は主に2点です。
- 加工できる構造にしよう
- 加工方向はなるべく少なくしよう
ではまた次回。