はじめに
お久しぶりです、ズズくんです! 初回である前回のブログから間が空きました。
さて、今回はマイクロマウス機体のコンセプトについて決めます。 ロボットを開発する上でコンセプトを決めることは大切です。 コンセプトを明確にすることで製作途中での機能の取捨選択に一貫性を保てます。
マウス製作の予定はGitHubの機能を利用して工数を管理するので、こちらから閲覧をお願いします。
コンセプト
コンセプトは、強いマイクロマウスの設計を真似することです。 私は将来的にマイクロマウスで優勝したいという目標があるため、現状で上位陣に多く見られる機体の特徴を組み込み足がかりとしたいと思っています。
物を作る上で経験がない場合、とりあえず実績のある物を模倣して製作することをオススメします。 データや実機を見るだけでは分からないことも多く、実際に自分で作ってみることでノウハウが貯まります。 まさに、学ぶは真似ぶといったところでしょうか。
コンセプトの要素
マイクロマウスには大会ごとにテクニカルデータというマシン情報を登録します。これを自由に見られるので参照してみてください。 今回は、最新の大会である第43回数全日本マイクロマウス大会2022のデータを参照して以下の表にまとめました。
テクニカルデータによると上位陣に見られる構成は以下の要素を持っていることがわかります。
- DCモータ
- ジャイロセンサ
- 板マウス
- 吸引機構
板マウス
板マウスとは、マイクロマウスに搭載する基板自体をシャーシ(車体)とした一枚板のようなマウスのことです。マイクロマウスロボットの小型化に伴い、この板マウスが現在の主流となっています。重量も抑えられるので、迷ったらコレにしとけば大丈夫でしょう。
最近では、トップ層では高速で走行させて壁や柱に衝突した際にシャーシである基板が耐えられない領域まで来ているため、原点回帰でカーボンやアルミ等の素材のシャーシを採用しつつあるようです。 今年のマウス合宿2023で聞いた話によると、1[mm]程度の厚みのアルミをハニカム構造で徹底的に肉抜きし、同様のサイズの基板と然程変わらない重量まで落としている方もいました。
今回は製作期間も限られているため、単純な構造で部品点数も少なくしたいです。また、基板のシャーシで壁や柱に衝突すると損壊する速度域で走れるようになるまでカーボンやアルミを採用するメリットも感じづらいため、板マウスにします。
DCモータ
マイクロマウスではDCモータとステッピングモータ(ステッパ)の2種類が主流ですが、速い機体は概ねDCモータを採用しています。ステッピングモータより高速な回転が得られます。ただし、ステッピングモータと違ってパルス信号ではなく直接の電流で制御するため回転数は別途のエンコーダといった部品で得る必要はあります。
また、駆動系であるタイヤは主に2輪と4輪の機体が主流です(6輪もいるらしい)。2輪ではタイヤの接地面と旋回中心が同一直線上にあるため、旋回の制御が容易で安定します。ですが、2輪であるが故に駆動系以外の箇所が接地して効率が悪く直進の制御も安定しません。4輪では2輪とは逆の特性です。旋回の2輪、直進の4輪といったところでしょうか。
6位〜10位は2輪のみですが、1位〜5位では拮抗気味です。どちらでも上位を目指せる構成だと見受けられるため、双方の制御の特性を詳細に理解しておきたいところです。私の今までの機体製作の経験は2輪のみなので、今回は初の4輪を採用して制御経験を積みたいと考えています(人的には4輪の方が外見が好みといった理由もあります)。
ジャイロセンサの搭載
ジャイロセンサは加速度や角速度を検出できるため、これを利用することで制御に安定性を与えることができます。マイクロマウスは高速で走行させるとタイヤの滑りも大きくなるため必要性も上がります。
吸引機構
吸引機構とは、扇風機のようなプロペラをモータに取り付けたものです。これをシャーシに対して垂直に設置することで機体を接地面に吸い付けて強力な摩擦力を生み、高いグリップ力を得られます(画像はinukaiさんのマイクロマウスをお借りして分解したもので、ショウさんのブログも構造が分かりやすくオススメです)。
グリップ力を得るには機体を低重心に設計することが重要ですが、重心以外で強引にグリップ力を得られる当機構の登場により、設計の自由度が広がりました。今では上位層を吸引機構搭載の機体が席巻しています。表から分かるように、上位5位までの機体では全てに搭載されています。
まとめ
以上の4つの要素を搭載したスタンダードな機体を作成します。 ただし、当ブログでは第一に100日後に完走させるといった目標を掲げており、期間的にも全てを満たすことは難しいように思えます。
特に、吸引機構はセンサ類やモータ類と違って一切の経験がありません。私自身の流体力学の知見も無く、トライアンドエラーの試行回数も多くなり時間を要することが予想されるため、吸引機構だけは100日後の大会以降に搭載することとします。
次回は、部品選定を行いたいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。それでは、またお会いしましょう。