第2回目は…
はじめに・・・
みなさんこんにちは。第2回目を担当するYUUKIと申します。
「HM-Starterkit」にチャレンジして、マニュアルだけではわかりづらいところや私が実際に行き詰ったところをご紹介できたらと思います。
私は、元医療・福祉従事者ということもあり、趣味でArduinoを使って少しセンサーを動かす…程度触れたことがあるレベルの初心者です。HMキットのようなマイクロマウスに触れたことはありませんでした。なので今までマイクロマウスに触れたことがない…という方でもチャレンジできる内容であるというところも併せてみていただけたらなと思います。よろしくお願いします!
前回の記事では、HM-StartKitの開発に必要な機材と購入方法についてご紹介しました。この記事では「マニュアルダウンロードページ(購入者限定)」にてダウンロードしていただいたマニュアルpart2であるキットの中身確認から、開発に使うPCの環境構築、簡単なプログラムを動かし本機の動作確認。またpart5のバッテリーについて書いていこうと思います。
※マニュアルダウンロードページを開くにはHM-StarterKit同梱のカードに記載されているパスワードが必要になります。
内容物の確認…
早速内容物を確認していきます。
箱を開けて最初にある内容物一覧と照らし合わせご確認ください。
タイヤがちぎれていないか、配線やバッテリー等に問題がないかチェックしていきます。
このキットは問題なさそうです。
HMキットを使用になる前に基板の絶縁処理をしていきます。
本製品の裏に少しですが部品のリードが出ています。未絶縁の場合、金属等と接触した際回路がショートし破損する恐れがあります。なのでマニュアルに従いポリイミド系の絶縁テープ(カプトンテープと呼ばれるもの)で絶縁処理を行います。
このように貼れば大丈夫です。
テープの上から「2.滑り材の貼り付け」にあるようにキット付属の滑り材を小さく切り、貼り付けて行きます。この時タイヤも取り付けてしまいます。
「3.その他注意事項」に記載していますが、「改造したプログラムをご確認いただく際は車輪を空転させるために車体の下に何か置くか手で持って確認をしてください」とあります。 私は、コーヒーフレッシュの空き容器を台座にして動作確認をしていきました。
環境整備・ビルド環境について…
HM-StaterKitのプログラムのビルド、転送、データ確認に必要なツールは CS+、Flash Programmer 、Tera Termとなります。なのでこれらのインストールと設定を行っていきます。
それぞれのインストールの方法はマニュアルに記載があるのですが、入手については記載がありません。なので本記事において解説します。
はじめにルネサスエレクトロニクス製のCS+とFlash Programmerをインストールしていきます。マニュアルでは「V4.01.00」RX 用コンパイラーパッケージ 、CC-RX のバージョンは 「V2.05.00」(無償評価版)となっています。私は、最新版の「V8.05.00 CC‐RXはV3.03.00」で動作確認しました。
ルネサスエレクトロニクス社にアクセスいただくとドキュメントダウンロード検索の欄で「【無償評価版】 統合開発環境 CS+ for CC V8.05.00 (一括ダウンロード版)」と見つけることができると思いますのでこちらをダウンロードしていきます。こちらマニュアルに記載がありますように60日間の試用版となります。
(ルネサスエレクトロニクスのダウンロードページ)
ダウンロードに際してアカウントを作成する必要があります。一括ダウンロード版のURLアクセス、後にアカウント作製された場合は完了後自動でダウンロードが始まります。フルインストールするとFlash Programmerも一緒にインストールされます。
(インストール完了画面)
インストールが完了したので、「GitHub」よりサンプルプログラム等をダウンロードします。
マニュアルのp10にあるGitHubのリンクからダウンロードしたら、サンプルプログラムをビルドし、Flash ProgrammerにてHMキットにを書き込んでいきます。
※マニュアルではビルド、書き込みの説明と本機の動作確認のためにサンプルプログラム内にある「step1_buzzer」を書き込み、ブザーが鳴ることを確認しています。
プログラムのビルドの操作手順
サンプルプログラムをCS+で開きます。
(画像では「step1_buzzer」を開いています。)
一番上のタブの「ビルド(B)」にある「ビルド・プロジェクト(B)」にてビルドできます。(もしくはF7)
メイン画面下部の出力にビルド結果が表示され、画像のように「エラー0個、成功:1プロジェクト」と表示されれば完了です。CS+で読み込んだプログラムのあるフォルダに「Defaultbuild」と新しくフォルダが作成されています。
(プログラムに問題があるとエラーや失敗が表記されこの欄に問題個所が表示されます。
警告については、成功していたら無視して大丈夫です。ログを確認すると試用期間中であると書かれていたりします。)
プログラムのビルドが完了したら、ビルドしたプログラムと同じフォルダにある「Defaultbuild」内の「HM_StarterKit.mot」をFlash ProgrammerにてHMキットに書き込んでいきます。
書き込みの操作手順
・「PCーUSBケーブルー書き込み基板ーマイクロマウス」と画像のように接続。
・書き込み基板のスイッチをFW側(白いガイドがある側)に切り替え。
・マウスの電源を入れ、書き込み基板のスイッチ横のリセットボタンを押す。
・Flash Programmerにて書き込み。
(書き込み時の状態。)
プログラムを書き込む前にリセットボタンを押してマイコンをリセットし、その後書き込んであげる必要があります。
Flash Programmerの初期設定
ここまで完了したら、続いてFlash Programmerの初期設定をしプログラムを書き込みますが、ここで一つトラブルが起きました。
マニュアル通りにマイコンを設定し、作成場所を決めていくのですが、COM番号が出てこないため接続できない状態になります。
画像のようにツールから「COM port」を選択しても番号の横に何も表示がなく接続できません。
おそらく、以前よりCS+をご利用いただいている方は問題なく設定できるのかと思いますが、初めてインストールされている方は、この問題にぶつかるかと思います。
原因はおそらくドライバーがないことです。なのでFTDIのVCPドライバーをインストールしていきます。
上記のサイトの最新版のドライバーの右側に「setup executable」とあるのでそちらをインストール。解凍してウィザードに従いインストール後、再度HMキットを接続しFlash Programmerを起動すると問題なくCOM番号も表示され接続できます。
ちゃんとポートが認識されました。
接続後、メインクロックの周波数を求められますが、こちらは12MHzに設定して完了です。メイン画面に戻り、接続設定のタブで通信速度を115,200 bpsに設定しておきます。
接続してすぐにこのようにクロックの設定が表示されます。これを12MHzに設定します。
クロック設定終了後、ファイルしたにある「接続設定」のタブに「速度(S)」
を115,200 bpsに設定して「操作」のタブに戻ります。
これでFlash Programmerの設定は完了です。
これでマニュアル通りに書き込みできました。
(ちゃんとHMキットの電源入れてくださいね…私は入れ忘れて書き込みできず一瞬焦りました笑)
ここではブザーを鳴らすプログラムを書き込んでいます。書き込み完了後HMキットの電源を切り、書き込み基板から外して電源を入れるとブザーがなります。
ちゃんとブザーが鳴れば成功です!
続いて仮想ポートドライバーのインストール…と言いたいところですが、先ほどFlash Programmerを設定する際にドライバーをインストールしているのでおそらく問題なく認識されていると思いますので、Tera Termのインストールに入って大丈夫です。
Tera Termのインストール
マニュアルには「Software_Driver 内にある、「teraterm-4.92.exe」を起動してください。」と記載がありますが、付属されていなかったので、OSDNよりダウンロードしました。
Tera Termも最新版の「teraterm-4.105.exe」をインストールしました。
以上で本キットにて開発をするための環境はすべて揃いました。
最後にサンプルプログラムの「STEP0」を書き込んでTera Termにて動作確認をするのですが…マニュアル通りに進めると画像のように文字化けします。
シリアル接続で文字化け…Arduinoを少し触ったことがある自分も似たような経験を思い出しました。おそらくシリアルポートの接続速度が合っていないのだろうと…
ということで、「設定」→「シリアルポート設定と接続」のスピードが画像のように9600となっているのが原因だとわかったのでここを38400まで引き上げました。
※シリアル通信のボーレートはこちらで定義されています。
無事動作が確認できました。
以上でマニュアルのstep2は終了です。主にPC側の必要ソフトのインストールやマウスへの書き込み方法など基礎となる部分をお伝え出来たかなと思います。step3以降で様々なサンプルプログラムを動かしていくことになります。
バッテリーについて…
ここが記事のメインかもしれない…
さて、記事の前半では環境構築とマウスの動作確認等をお伝えしましたが、ここまで使用しているリポバッテリーについてです。趣味でラジコンやドローンを取り扱われる方なら馴染みかと思います。小型で高い放電能力を持つ魅力的なバッテリーです。
しかし取り扱いを誤ると発火などの危険性を持っています。安全にご使用いただくためにもリポバッテリーの取り扱いと充電方法について紹介していきたいと思います。
私自身、あまり触れる機会が少なく知識としても浅かったのでしっかり確認していきたいと思います。
リポバッテリーを使用する際の注意点。
使用する際に冬季の屋外使用など気温の低い場所ではバッテリーが活性化せず本来の性能を発揮しないので人肌に温めてから使用する必要があります。
リポバッテリーは使い切らずセーフティーマージンを取りつつ使用する必要があります。スマートフォン等にも使用されていますが、完全に残量が0%になる前にバッテリー切れ表示されることは、みなさまお馴染みかと思います。
3vがデッドラインと言われており、過放電は劣化を促進するどころか継続使用は危険です。
また衝撃にも弱くニュース等で落とすだけでモバイルバッテリーが爆発するなんて動画を一度はご覧になったことがあると思います。衝撃を和らげるクッション性があり、万が一発火した際も応急処置が可能な耐火能力のあるリポバッテリーのセーフティーバックなどにいれて保管充電することが推奨されます。
下記の画像のように本体が膨らんでいるバッテリーがありますが、こちらはバッテリー内部で不具合が起きているので使用せず処分しましょう。
右のバッテリーが良好なバッテリーです。同じものですが明らかに膨らんでします。
処分する場合。バッテリーは完全に放電させてから不燃ごみとして処分することが可能です。コネクタ等を取り外し塩水に一か月程度放置すると放電して不燃ごみとして処分可能ですが、自治体によっては受け付けてくれないこともあります。家電量販店等に回収BOXがあり、そこであれば塩水処理することなくコネクタ部分をテープ等で絶縁処理しておけば引き取ってくれますので最寄りの家電量販店、もしくはごみ集積場等に問い合わせ確認し安全に処分しましょう。
・バッテリーの充電方法
本製品では書き込み基板を利用し、付属のリポバッテリーの充電が可能です。ダウンロードしていただいたマニュアル(step5)の手順通りにUSBケーブル、書き込み基板、電源ケーブル、バッテリーと繋いでからPCのUSBポートにさして充電。(書き込み基板のLEDが光る)そのLEDが消灯したら充電完了です。(約5時間かかるが、1~2時間の充電で十分な電圧となるためLEDの消灯を待たずバッテリーを使用しても問題ありません。)
継ぎ足し充電するので、充電中は目視できる位置で行ってください。リポバッテリーは充電中のトラブルが多いようです。
しかし、前述したように3v以下になるまでの使用や、他にもフル充電での長期保管も寿命を縮める原因となるので推奨されません。というとやはり専用の充電器をご購入いただくのが安心して継続的にリポバッテリーをご使用するには必要かもしれません。
モニター付き、複数セルバッテリーのバランス充電可能なものが5000円あたりから発売されています。また最近では、保管時に良いストレージモードで充電できるものまであるそうです。
アールティでも過去にショップブログで掲載しておりますので、併せてご確認ください。
ドローンや高価格帯RCによく使われるリポバッテリー。小型で大容量、放電能力も高いですが非常にデリケートな電池です。誤った使用方法や管理をすると爆発、火災など大きな事故に発展します。
しかし正しい取り扱いをすると非常に魅力的な電源でありますので、注意書き等をよく読んでいただき、安全にご使用いただきますようお願い申し上げます。
長くなりましたが、第二回の記事は以上になります。
それではっ…
YUUKI
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