ししかわのマウス研修

M5Stackマイクロマウスの回路設計:電源回路 – ししかわのマウス研修 Part.33

M5Stackマイクロマウスの回路設計:電源回路 – ししかわのマウス研修 Part.33 ししかわのマウス研修

ししかわです。

社員研修の一環で、マイクロマウスを自作して大会に出場します。

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今回から、作成した回路の中身について説明していきます。
まずはどんなマイクロマウスにも必ず必要になる電源回路の説明です。

完成済みの回路図はGitHubで公開しています。

電源回路

こちらが電源回路の全体像です。

電源回路の全体像

概要

M5Mouseの部品は、3通りの電圧を必要とします。

  • モータ…定格6V
  • エンコーダ…5V
  • マイコン等…3.3V

これらの電圧を作るためにリチウムポリマーバッテリー(3.7V)を2個直列に繋いで7.4Vを作り、それを段階的に降圧して5Vと3.3Vを取り出します。7.4Vから5Vへの降圧はDC/DCコンバータを、5Vから3.3Vへの降圧はリニアレギュレータをそれぞれ使いました。また、電源オン・オフを切り替える物理スイッチと、バッテリーの残量を確認するための電圧監視回路も追加します。

概要

DC/DCコンバータとリニアレギュレータは、どちらも入力された電圧を別の電圧に変える部品です。DC/DCコンバータはスイッチングレギュレータとも呼ばれ、入力された電圧のON/OFFを素早く切り替えてパルス波形を出力し、インダクタとコンデンサを介して平滑化することで降圧を行います(参考:降圧型スイッチングレギュレータの動作原理 | 電源設計の技術情報サイトのTechWeb)。

一方リニアレギュレータは3端子レギュレータとも呼ばれ、可変抵抗で入出力の電圧の差分を熱として消費することで降圧を行います。

DC/DCコンバータのほうがリニアレギュレータより電力効率が良いですが、回路が複雑でノイズの発生源となりえます。今回はトータルの部品の実装面積や電力効率を考慮して、また研修なので色々な部品を経験するために、両方使ってみます。5V→3.3Vの変換のほうが電圧差が少ないのでこちらにリニアレギュレータを使ってみます。

なお、M5Stack側にもレギュレータが載っていますがこちらは使わないことにしました。M5Stackは回路図はすべて公開されているものの、詳しい仕様が明文化されているわけではありません。今までも内部で使っている9軸センサが突然(互換性がない)別の部品に替わっていることもありました。電源は重要な機能なので、今後のM5Stackが仕様を変えたとしてもちゃんと動作させられるように自前でやっていく方針としました。

以降、回路を詳しく見ていきます。

DC/DCコンバータ

DC/DCコンバータには入出力の電圧と出力できる電流値を加味して、Texas InstrumentsのTPS562200 を選定しました。データシートによると定格は次のとおりです。

  • 入力電圧:4.5~17V
  • 出力電圧:0.76~7V
  • 出力電流:~2A

DC/DCコンバータは分圧抵抗の係数を変えることで出力電圧を変更できます。前回の記事で触れたように、データシートのApplicationの章を読みながら部品の係数を計算しました。データシートの”8.2.1.2 Detailed Design Procedures”を参考にICの左右のコンデンサの容量や、出力ピン側のコイルのインダクタンスと分圧抵抗の係数を計算できます。

回路の構成にあたり、社内の回路図ガイドラインに従って係数の計算式を回路図に書き込みました(回路図の青字部分)。こうすることであとから見返したときにも係数の妥当性を判断できますし、レビューしてもらう時にも便利です。

また、抵抗の許容誤差が指定される場合も忘れずに回路図に書きます(分圧抵抗の係数部分)。抵抗にはE系列と呼ばれる抵抗値のリストがあり、E3、E6、E12、E24などがあります。この系列毎に許容される個体ごとの抵抗値のズレ、つまり許容誤差が決まっています。

レギュレータ

レギュレータ

Pi:Co研修の頃にはんだ付けをミスして痛い目を見ている3端子レギュレータです。今回は実装面積削減のため表面実装のものを使用します。これなら部品の足が折れる心配もなくて安心ですね!(部品ごともげる可能性はありますが)
DC/DCコンバータと同じように入出力の電圧と電流定格を加味してLM39401MPを選定しました。

  • 入力電圧:-0.3~7.5V
  • 出力電圧:3.2~3.4V
  • 出力電流:~1A

このレギュレータは出力電圧が固定のタイプです。こちらもデータシートを参考に周辺回路を構成しました。

電源スイッチとバッテリー電圧監視

電源スイッチとバッテリー電圧監視

最後にスイッチ回路、そしてバッテリーの電圧を監視する回路です。通常、マイクロマウスサイズの小さいスイッチには大電流を流せないためMOSFETなどを挟んで電流を切り替えます(参考:shotaさんのブログ)。私の回路ではDC/DCコンバータのENABLEピンの電圧を上げ下げすることで電流のON/OFを切り替える作りにしました。上記回路図ではENピンが立たない限りVINには微弱な電流しか流れません。

また、バッテリー切れを検知するための電圧監視回路を作りました(回路右)。バッテリーの放電が進むと電圧が下がるため、これをM5StackのADCで測定して充電切れを検知します。バッテリーの電圧は満充電時に最大約8.4Vまで上がりますが、これはマイコンのピンに流すには高すぎるため、分圧回路を経由して8.4Vを3V程度まで下げてから入力します。


以上、電源回路を説明しました。
次回はセンサとモータの回路について説明します。

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