こんにちは、しおたにです。
前回、ギア比計算に必要な式と各パラメータを整理しました。今回は計算していきます。
前回の補足
モータの定格電圧について
前回、電源電圧は7.4[V]と設定していました。
ところが、こちらからモータのデータシートを見てみると、定格電圧は3[V]とありあます。
そこに倍以上の電圧をかけてもいいのでしょうか?
気にしない
今回は効率の良く長時間駆動させたい産業用機器とは違い、多少効率が悪くても瞬間的に必要な出力が得られればよいため、モータには気の毒ですが特に気にしていません。壊れたら交換します。
このような競技向けに作られているモータは少ないので仕方ないですね。
また、データシートによると最大回転数は16000rpmですが、こちらも同様に無視しています。
(まぁ目標通り6秒でゴールするならそのくらいの間は壊れないでしょう。ヨシ!)
減速比を仮置きして計算する
以下の3つの式に値を入れて計算していきます。
必要なトルクからDuty比を求める式
Duty = ( R・τ/KT + KE・ω ) / VBAT
出したい加速度から必要なトルクを求める式
τ = ( r ・ m ・ a ) / ( 2 ・ n )
出したい速度からモータの回転速度を求める式
ω = 60・n・v / 2πr
残る減速比の設定ですが、設定したパラメータから要求されている性能を出すためにはDuty比を0.8以下にできれば良さそうという話でしたので、いくつか仮置きして計算してみることにします。
去年の全国大会に出場した方々のマウスをみると、およそ1:3~4がよく使われているようです。
そこでnを3から0.1ずつ増やしながら計算してみます。
また、この際の電流値I[A]も計算してみます。
I = τ/KT
の式で求められます。
計算結果
各減速比での計算結果
減速比n | 3 | 3.1 | 3.2 | 3.3 | 3.4 | 3.5 | 3.6 | 3.7 | 3.8 | 3.9 | 4 |
Duty比 | 0.765 | 0.766 | 0.767 | 0.769 | 0.772 | 0.775 | 0.779 | 0.783 | 0.788 | 0.793 | 0.798 |
トルクτ[N・m] | 0.005 | 0.005 | 0.005 | 0.005 | 0.005 | 0.004 | 0.004 | 0.004 | 0.004 | 0.004 | 0.004 |
回転数ω[rpm] | 13751 | 14209 | 14668 | 15126 | 15584 | 16043 | 16501 | 16960 | 17418 | 17876 | 18335 |
電流I[A] | 2.630 | 2.546 | 2.466 | 2.391 | 2.321 | 2.255 | 2.192 | 2.133 | 2.077 | 2.023 | 1.973 |
3~4の間であればどの減速比でもDuty比を0.8以下のため問題ないことが分かります。ちなみに4.1以上から0.8を超えました。
ここで電流値を見てみると、減速比が低いものほど高くなっています。電流値が高ければそれだけ発熱しますし配線を太くしないといけません。モータドライバ的には余裕がありますが、多めに取っておきたいところです。
以上より、Duty比が0.8以下かつ電流が低めになるため、減速比は3後半が良いということになりました。
同じモータを使われているほかのマウスたちをみても減速比はこの辺りになっていましたので間違っていなさそうです。
今回はここまで。
次回、この減速比になるようなギア比を決めていきたいと思います。