マイクロマウスPi:Co改造研修(河野)

第44回全日本マイクロマウス大会に参加 – マイクロマウスPi:Co改造研修(河野)Part6

マイクロマウスPi:Co改造研修(河野)

はじめに

お久しぶりです、河野です。前回から日が経ちましたが、引き続いてPi:Coの改造研修を行っています。

前回はセンサ基板を改造したPi:Coで東北地区大会に参加しました。今回は話が飛んで、ステッピングモータからDCモータに置き換えたPi:Coで全日本マイクロマウス大会に参加した話です。

大会レポート

第44回全日本マイクロマウス大会

こちらのクラシックマウス競技に参加してきました!参加機体はDCモータ化したPi:Coです。

前回から機体の様子がかなり変わっていますが、変更点については後述します。

全日本大会ということで、もっとピリピリした空気感かと思っていましたが、皆さん和気あいあいと楽しまれている様子でした。私は大会参加が今回で2回目ということもあり、緊張で手がプルプルしながら参加していました笑

自分の出番が早めに終わったので、その後はたっぷりと観戦ができました。研修を通してマイクロマウスについての知識がついたことにより、他の参加者の機体を見た際に理解できることが増えていてこっそり感動していました。

私が特に注目していたマイクロマウス競技ファイナルでは、トップ層のとんでもない速度に驚いたり、ドラマチックな展開があったりと見る側としても楽しめました。マイクロマウス競技では、2セル、3セル化で速度を上げる流れがきているようで、そのハイパワーをどう制御するかが課題となっているようです。

競技が終わった後は、マウスパーティで他の参加者の方と交流しました。私の機体が特徴的だったこともあり、色々な方に声を掛けて頂いてとても良い交流ができました。「Pi:Coかと思ったら全然違うじゃん!」と思ってた以上の反応を貰うことができて嬉しかったです。

↓ちゃっかり真ん中に置かせて頂きました

結果

肝心な大会結果は、未完走のリタイアとなりました。

センサ値の調整が甘かったことが大きな原因だと思われます。壁の認識状況をLEDで表示させていたので、走行中にその様子を見ていましたが左壁の認識がまちまちだったりとかなり怪しかったです。スタート位置を左右にずらしてみるなどしてみましたが、付け焼き刃ではどうにもなりませんでした。

今回、最も大きな課題だった移動制御は綺麗に出来ていたので、余計に悔しい結果となりましたが、同時に課題を見つける良い機会にもなりました。現状、センサ値をそのまま使用しているので、差分フィルタなどの後処理を追加して、環境変化に強い実装に改善する必要があるなと思っています。

機体の変更点

電池

リポバッテリー3セルから2セルに変更しました。使用したモータやICが2セルのほうが都合が良いことが多かったため変更しましたが、Pi:Coとの互換性を考えるのであれば3セルのまま設計するのがベストだったかなと思っています。

足回り

パッと見て最も大きく変わっている部分だと思います。ステッピングモータからFAULHABER製のDCモータへ変更しました。タイヤは社内でよく使われているミニッツのものを使用し、それに合わせてモータマウント一体のシャーシを3Dプリンタで作成しました。

今回は、社内でよく使われているパーツということでこれらを選びましたが、実際には機体が出したい速度からモータやギア比、タイヤ径などを選定する必要があります。これを怠ると思ったより速度が出ないなといったことが起きます。このあたりの設計は塩谷さんの記事林さんの記事などで解説があります。

メイン基板

マイコンが乗っているメイン基板は、DCモータに対応するために新しく設計・実装しました。なるべくPi:Coと同じ部品・配置としつつ、抵抗やコンデンサなどは表面実装部品へと置き換えてあります。

モータドライバはDRV8835を使用しています。今回は、交換を考えてピンソケットを使用する形で実装してありますが、走行時の振動で接触不良を起こす場合もあるようなので注意が必要です。

新しい装備として9軸センサ(+レベル変換モジュール)を搭載しました。ただ、残念ながらソフトウェアの実装が間に合わなかったため今回は未使用です。

ソフトウェア

Pi:Coのサンプルを流用しつつ、ピン配置とモータ制御部分を書き換えました。

ステッピングモータは目標の指令値を入力すればある程度その通りに動いてくれていましたが、DCモータでは誤差が生じるため、フィードバック制御を行う必要があります。

フィードバック制御には、よく知られているPID制御を使いました。エンコーダから得られた値を用いてタイヤ径・ギヤ比から実際の速度を算出し、目標値との差分を埋めるような制御を行っています。

おわりに

結果はリタイアとなってしまいましたが、モータ制御の経験や課題の発見など実りのある大会でした。

特にモータ制御の経験を詰めたことは自分の中でとても大きく感じています。理論を学べたこともそうですし、机上で理解しただけでは足りず、本当に理解するには実装までする必要があることを味わえたのがとても良い経験になりました。

限られた時間での実装でしたが、エンコーダの値を取得するためにデータシートとにらめっこしたり、思っていた動きと違うなと試行錯誤していた時間はとても楽しかったです。そして、思ったように機体を制御できた時はとても嬉しかったです。

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