こんにちは、ショウです。
今回は前回作成した吸引ファンの吸引力をテストしていきます。今回のテストはマイクロマウスサイズで行っているのでクラシックサイズやもっと大きな場合は違ってくるかもしれません。
吸引ファン
作成した吸引ファンは前回作成した10個です
よくある形状と今回作成した形状に加え、高さの低くしたものと、羽の終端をφ3とφ5で作成しました。ついでに3次元的に羽の形状をねじったものも2つ作成しています。
違いをまとめるとこのようになっています。
作成したファン毎の違いは
吸引ファン番号 | 吸引ファン形状 | 羽中心径 | 高さ | 羽ひねり角度 |
1 | 流路考慮3D型 | 3mm | 7mm | 20° |
2 | 流路考慮3D型 | 3mm | 7mm | 30° |
3 | 流路考慮型 | 5mm | 7mm | 0° |
4 | 流路考慮型 | 3mm | 7mm | 0° |
5 | 流路考慮型 | 5mm | 5mm | 0° |
6 | 流路考慮型 | 3mm | 5mm | 0° |
7 | 一般型 | 5mm | 7mm | 0° |
8 | 一般型 | 3mm | 7mm | 0° |
9 | 一般型 | 5mm | 5mm | 0° |
10 | 一般型 | 3mm | 5mm | 0° |
となっています。
羽中心径は羽の内側の終端直径です。
吸引スカート作成
吸引ファンのテストをするにあたって機体に吸引用のスカートを作成しています。
スカートがなくても吸引力自体は発生するのですが、吸い上げた空気が逃げてしまうので十分に吸引力を引き出せません。
前に聞いたことがあるものでスカートを作成してみましたが、大会で上位の人たちの機体を見てスカートは作り直そうと思います。
スカートは秋月などの電子部品のチャック袋とスコッチテープで作成しています。
吸引テスト
ファンごとの吸引力をテストするために秤に機体をおいて吸引した後に機体上に引っ張って出た値の最高値を3回取った平均値結果としています。
モータを回転させるPWMは60%固定にしています。
機体が完璧に水平に持ち上げられているわけではないので誤差はあると思いますが、簡易的にテストする方法としてこの方法で行っています。
テスト方法はinukaiさんのブログと同じ感じです。
テスト結果
テスト結果はこのようになりました。
吸引ファン番号 | 吸引ファン形状 | 平均吸引力[g] |
1 | 3D 20° | 29.5 |
2 | 3D 30° | 26.8 |
3 | 流路考慮型 高 φ5 | 26.4 |
4 | 流路考慮型 高 φ3 | 25.4 |
5 | 流路考慮型 低 φ5 | 22.7 |
6 | 流路考慮型 低 φ3 | 21.8 |
7 | 一般型 高 φ5 | 14.1 |
8 | 一般型 高 φ3 | 15.8 |
9 | 一般型 低 φ5 | 21.8 |
10 | 一般型 低 φ3 | 19.6 |
種類ごとに比較していきます。
まず流路考慮型の背の高いもの(3、4)を比較すると、5mmの方が吸引力が強くなっています。
これは3mmの場合羽の中央が密集していて空気を通す流路が狭くなり、十分に空気が流れなくなったものと思います。
他のファンを見ても背の高い通常型(7、8)以外は同様になっています。
流路考慮型(3、4、5、6)と通常型(7、8、9、10)を比較するとすべての型で流路考慮型の方が吸引力が大きくなっています。
マイクロマウスサイズではファンの形状が小さいので空気の粘性が大きく影響するようで、空気が流れやすいように形状をした方が流速が早くなり、吸引力が上がっているようです。
高さを見ていくと流路考慮型では背の高いもの(5、6)がより吸引できていて、逆に通常型は背の低いもの(9、10)の方が吸引できていることがわかります。
現状のモータの性能では羽を大きくしすぎると空気押し出す力が足りず、逆に吸引力が下がるようです。
3D形状にしたファン(1、2)はねじり角度が小さい方が吸引力が大きくなる結果が出ています。
3D形状の場合大きく角度をつけすぎると流路が狭くなり、空気の粘性の影響が出てきて吸引力が落ちてくるということではないかと思います。
まとめ
少なくともマイクロマウスサイズにおいては流路の形状を整えて、ある程度流路のスペースを確保した形状が一番吸引力が大きくなる結果でした。
この結果を見るとマイクロマウス競技のサイズでは流路の幅が大きく性能に影響してくるのだと思います。
マイクロマウスサイズの場合吸引ファンのサイズも小さくなり、空気の粘性の影響を大きく受けているようで十分に吸引するためには羽をやたら増やすなどをせずに流路を整える方を優先した方がよさそうだとわかりました。
今回の結果では1の20°角度を付けた流路考慮型の結果がよかったですが、羽の枚数減らすなどを変更するともっと結果が変わってくる可能性もあります。
また通常型の場合はあまり背を高くせずに作った方が吸引が大きくなるようです。ただし、低くしすぎると流路考慮型と同じように粘性の影響を大きく受けるような気がします。
今回はここまで、次回は3/12のマイクロマウス全日本大会の結果報告です。