設計変更しやすいモデルとは
CADでモデリングをする場合、一度製図しておしまいではなく何度も確認と設計変更を繰り返しながら試行錯誤をします。 例えばマイクロマウスの外装を例に取ると、3Dプリントして組み付ける際に- 部品間のクリアランス(隙間)が大きすぎて部品が外れてしまう
 - 部品が干渉してしまい組み立てられない
 

過去が改変された結果、存在が消えてしまったマウスの外装
設計意図と拘束
設計変更しても、ジオメトリが予測可能な望ましい結果になるように戦略的に定義することを「設計意図(Design Intent)」と呼びます。設計意図について、公式チュートリアルの動画が詳しいです。一見同じ形状のスケッチでも、拘束の付け方によって値を変更したときの形状の変わり方が違います。 拘束には「垂直」「並行」「同心円」など様々な種類がありますが、モデルの修正と再計算が正しく行われるためには適切な種類の拘束をつける必要があります。 先に挙げた失敗例も、スケッチに適切に拘束がついておらず、寸法の再計算に失敗することが崩れの原因です。拘束の例
ごくかんたんですが、良い拘束と悪い拘束の例を挙げます。次のモデルAとBはどちらも50mm立方の枡です。
一見同じに見えますが、底面のスケッチの書き方が違います。Aは外側と内側の矩形が独立した寸法を持っていますが、Bは内側の矩形が外側の矩形のオフセットとして定義されています。
あとから枡の外径を変更したい場合、Bは外側の寸法を変更すれば内側の輪郭線も追従しますが、Aはそのままです。
もちろんAは内側の寸法も明示的に変更すればよいですが、スケッチやジオメトリの数が増えるほど変更点も多くなることは想像に難くありません。このように、単にスケッチを拘束すればよいのではなく、スケッチの線が持つ意味、設計意図を意識しながらモデリングすることが重要です。
とはいえ、拘束の種類は12個もあるので、私も最初はどれをどこに使えばよいかよくわかりませんでした。各拘束が適用された箇所の寸法を変えて、他の線がどう変わるかを確認するなど、色々試しながら覚えると良いと思います。
今回は以上です!      