こんにちは、shotaです。
社員研修として、ESP32を搭載したオリジナルマウスを製作しました。
前回の記事ではHello World!のサンプルプログラムを実行しました。
今回はHello World!の編集方法を書きます。その後GPIOのサンプルを編集し、マウスのLEDを点灯させます。
Hello World!サンプルの編集
前回はESP-IDFのサンプルからhello_worldを選択し、ビルド、書き込み、実行しました。
サンプルコードはGitHubのページからも確認できます。
このサンプルのディレクトリを見ると、CMakeLists.txtやMakefileなどがあり、その中にmainディレクトリがあります。
mainの中にはCMakeLists.txtとcomponent.mkとhello_world_main.cがあります。
今回編集するのはhello_world_main.cです。これがHello Worldのソースファイルです。
hello_world_main.cの中身を見ると、
void app_main(void) { printf("Hello world!\n"); /* Print chip information */ esp_chip_info_t chip_info; esp_chip_info(&chip_info); printf("This is %s chip with %d CPU cores, WiFi%s%s, ", CHIP_NAME, chip_info.cores, (chip_info.features & CHIP_FEATURE_BT) ? "/BT" : "", (chip_info.features & CHIP_FEATURE_BLE) ? "/BLE" : ""); printf("silicon revision %d, ", chip_info.revision); printf("%dMB %s flash\n", spi_flash_get_chip_size() / (1024 * 1024), (chip_info.features & CHIP_FEATURE_EMB_FLASH) ? "embedded" : "external"); for (int i = 10; i >= 0; i--) { printf("Restarting in %d seconds...\n", i); vTaskDelay(1000 / portTICK_PERIOD_MS); } printf("Restarting now.\n"); fflush(stdout); esp_restart(); }
となっています。Hello world!を表示するだけなのに中身多くない!?と思うかもしれませんが、そのとおりです。
このサンプルコードはHello world!以外の情報も表示しています。
CPUの情報やフラッシュメモリのサイズ等を表示していますが、マウスの機能としては不要です。
こういう機能があるんだ〜、程度に覚えておきましょう。
そこで、下記のように編集してみます。
Hello world!の文字列を変更して、それ以外のコードはコメントアウトしました。
void app_main(void) { printf("ESP32マウスをはじめよう!\n"); /* Print chip information */ // esp_chip_info_t chip_info; // esp_chip_info(&chip_info); // printf("This is ESP32 chip with %d CPU cores, WiFi%s%s, ", // chip_info.cores, // (chip_info.features & CHIP_FEATURE_BT) ? "/BT" : "", // (chip_info.features & CHIP_FEATURE_BLE) ? "/BLE" : ""); // // printf("silicon revision %d, ", chip_info.revision); // // printf("%dMB %s flash\n", spi_flash_get_chip_size() / (1024 * 1024), // (chip_info.features & CHIP_FEATURE_EMB_FLASH) ? "embedded" : "external"); // // for (int i = 10; i >= 0; i--) { // printf("Restarting in %d seconds...\n", i); // vTaskDelay(1000 / portTICK_PERIOD_MS); // } // printf("Restarting now.\n"); // fflush(stdout); // esp_restart(); }
これを書き込んで実行します。
# buildは省略していますが、ファイルが変更されていると自動でbuildしてくれます。 $ idf.py -p /dev/ttyUSB0 flash monitor
変更後の文字列が表示されました。
LEDを点灯しよう
サンプルコードの編集方法が分かったので、次は別のサンプルコードを編集します。
編集するのはgpioのサンプルコードです。
このサンプルからは、GPIOのインプット、アウトプットの設定と、割り込み処理の設定方法が学べますが、今回はアウトプットの設定のみを使用します。
まず、hello_worldと同様にサンプルディレクトリをコピーします。
$ cd ~/esp $ cp -r esp-idf/examples/peripherals/gpio/ .
次に、gpio/main/gpio_example_main.cを編集します。
ファイル上部にGPIO_OUTPUT_IO_0とGPIO_OUTPUT_IO_1が設定されているので、これをEspecialのLEDポートに変更します。
Especialのピン番号と機能については下記に記載しています。
shotaのマイクロマウス研修18 ESP32周辺回路とピンの機能選択
#define GPIO_OUTPUT_IO_0 22 //18 #define GPIO_OUTPUT_IO_1 23 //19
変更したらマウスに書き込みます。
$ idf.py -p /dev/ttyUSB0 flash
LEDが点滅(Lチカ)しました。
サンプルコードを詳しく読む
Lチカを実現するにはGPIOのアウトプットの設定が必要です。それ以外は不要です。
そこで、サンプルコードからLチカに不要な部分を取り除きました。
コメントも追加したので、各行で何を実行しているのか理解しやすいと思います。
#include <stdio.h> #include <string.h> #include <stdlib.h> #include "freertos/FreeRTOS.h" #include "freertos/task.h" #include "driver/gpio.h" #define GPIO_OUTPUT_IO_0 22 //18 #define GPIO_OUTPUT_IO_1 23 //19 void app_main(void) { gpio_config_t io_conf; // 割り込みをしない io_conf.intr_type = GPIO_PIN_INTR_DISABLE; // 出力モード io_conf.mode = GPIO_MODE_OUTPUT; // 設定したいピンのビットマスク // 1ULLはunsigned long long(64bit)で1を表現する // 22ピンと23ピンを設定するので、ビットマスクは下記のようになる // 上位32ビット:MSB|0000 0000|0000 0000|0000 0000|0000 0000| // 下位32ビット: 0000 0000|1100 0000|0000 0000|0000 0000|LSB io_conf.pin_bit_mask = ((1ULL<<GPIO_OUTPUT_IO_0) | (1ULL<<GPIO_OUTPUT_IO_1)); // 内部プルダウンしない io_conf.pull_down_en = 0; // 内部プルアップしない io_conf.pull_up_en = 0; // 設定をセットする gpio_config(&io_conf); int cnt = 0; while(1) { // カウンタcntをインクリメント printf("cnt: %d\n", cnt++); // 1秒停止 vTaskDelay(1000 / portTICK_RATE_MS); // gpioの出力をセットする // 0: Lo, 1: Hi // cntが奇数のとき、cnt % 2が1になるので、出力はHi // cntが偶数のとき、cnt % 2が0になるので、出力はHi gpio_set_level(GPIO_OUTPUT_IO_0, cnt % 2); gpio_set_level(GPIO_OUTPUT_IO_1, cnt % 2); } }
ここで重要なのは、driver/gpio.hをインクルードすることと、gpio_config()でピンを設定することです。
GPIOの詳細については、下記ドキュメントを参照してください。
https://docs.espressif.com/projects/esp-idf/en/stable/api-reference/peripherals/gpio.html
次回の記事
次回はADC(Analog to Digital Converter)を使ってバッテリの電圧を読み取ります。