HM-StarterKitでマイクロマウスを始めよう

バッテリの充電時間の短縮 – HM-StarterKit初級者 Part 1 —

HM-StarterKitでマイクロマウスを始めよう

お久しぶりです。青木です。

今まで新人の4人でHM-StarterKitの購入から、サンプルプログラムで簡単な迷路の走破ができるところまで書いてもらいました。ここからは、実際に走らせてみて、ちょっと困っているようなことを少しずつ改善していく内容になります。後半になるに連れてちょっとずつ難しくなります。

改善する内容(予定)としては以下のようになっています。

  1. バッテリの充電時間の短縮
  2. 通信に使われているピンソケットの故障時の修理方法
  3. 車体角速度制御PIDのゲイン調整用のログの取得開始時間の調整
  4. 迷路の場所によって目標値が変わってしまう時の対処方法について
  5. 袋小路での物理的な車体位置補正の方法
  6. 壁距離センサと前壁を使って車体位置補正をする方法
  7. 壁距離センサと横壁を使って車体位置補正をする方法

 バッテリの充電時間の短縮

HM-StarterKitについてくる充電器は、安全にかつ経年劣化を少しでも抑えて充電できるように15mAで充電しています。HM-StarterKitに付属するバッテリは、150mAhを使用しているため、最大で0.1C充電となっています。Li-Poの充電は、常に一定の電流(ここでの設定では15mA)で充電するのではなく、バッテリの電圧に応じて変化しています。満充電になるにつれて流す電流が小さくなるようになっています。そのため、HM-StarterKitのマニュアルには5時間ぐらいと書いてありますが、かなり使った後では、5時間で充電完了とならないことがあります。充電時間が5時間もかかると大会直前の調整で使用した電池を充電開始したら予定していた電圧まで充電が間に合わないということが考えられます。自己責任になりますが、充電時間を短くする改造方法を紹介します。

使用しているICを確認

HM-StarterKitについてくる充電器は、回路図の最後のページにあるcharge_board.schを見るとLTC4054L-4.2が使われていることがわかります。データシートを見るとPROGの端子に繋がっている抵抗値で充電の電流値を調整できることが書いてあります。計算式はIbat = (Vprog / Rprog)x150 [A]となっています。Vprogは電気的特性表からtyp(標準値)で1[V]と書いてあります。改造前の充電器にはRprogに10[kΩ]が繋がっているので、

Ibat = ( 1 / 10000 ) x150 = 15[mA]

となります。Rprogに使用している抵抗値は1[kΩ]から15[kΩ]までの任意の値を使うことが可能です。このICで一番素早く充電するには1[kΩ]となります。1[kΩ]の抵抗に切り替えようと考えた時、抵抗値のばらつきを考えると1%抵抗が良いですが、研究室や部室にある抵抗はおそらく5%抵抗だと思うので、1[kΩ]ではなく、1.1[kΩ]以上を使うと上限を超えずに安全に充電ができます。また、充電電流が大きいと発熱も大きく経年劣化も早くなるので、可能な限り電流値を抑えた方が安全に充電することができます。ここでの例としては、自宅にあったばらつき5%の2.2[kΩ]に切り替えたいと思います。2.2[kΩ]の時は、68[mA]で充電することになります。

対象となる抵抗値の場所

10[kΩ]から2.2[kΩ]に切り替えるのですが、どこの抵抗を切り替えれば良いのでしょうか?
使用している抵抗が数字があるものでしたので10[kΩ]=103が該当箇所となります(下記の図の赤い枠のところ)。

この抵抗はチップ抵抗でサイズが1608(ミリ)です。千石電商マルツなどで入手できます。

ちょっと電子回路に詳しい方なら気づいたかもしれませんが、元々ある10[kΩ]の抵抗をとって2.2[kΩ]に交換しなくとも、抵抗の上に抵抗をつけて並列接続することでも抵抗値を下げることができます。1[kΩ]を乗せてしまうとトータルで1[kΩ]以下になるので、並列接続する場合は、1.2[kΩ]以上にしてください。ここでは、抵抗の交換をします。

抵抗の交換の方法

幸いにも交換する抵抗の場所が端にあるので作業がしやすいです。抵抗の両端のランドを同時に温めないと抵抗を取ることはできません。しかし、通常半田こては、1つのランドを温めるようになっています。
初めて半田付けをした時、半田の注入量がよくわからず、隣の端子やランドまで半田を流してしまった経験が一度はあると思います。それと同じようにターゲットとなる抵抗に半田をたくさん盛ります。

ここまで盛れたらあとは、こてを寝かせて半田を温めて半田こてをスライドすれば抵抗は簡単に取れます。半田が残ってしまって半田付けが難しい場合は、半田吸い取り線でとってから抵抗を取り付けます。

充電時の注意

抵抗を交換して、初めて充電する時は、防火袋に入れて電池が熱くなっていないかなどを確認しならが充電をしてください。

次回は、通信に使われているピンソケットの故障時の修理方法について紹介します。

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