こんにちは、しゅうです。
今回は、前回設計した電源回路の抵抗やコンデンサの値を計算していきます。
修正作業
その前に修正作業が2点ありますので、先にそちらのお話をします。
モータドライバ周り
以前の記事で、モータドライバの2つの電源に3.3Vを入力していました。しかし、モータ用の電源として5Vを使うことにしたので、以下の画像に示す回路を修正します。
電源スイッチ周り
前回の記事で追加したMOSFETのシンボルにミスがありました。
データシートより、以下のようにピンが反時計回りに配置されていました。
なので、回路図を次のように修正しています。加えて、ここで使う抵抗は47kΩにします。
追加作業(予告)
実は1つ、マイコンのピン設定でも忘れていたものがあります。バッテリーの電圧監視用ピンです。追加作業やマイコン側の設定などは次回行います。
抵抗値などの計算
ここからは、計算式が登場してきます。TPS561201のデータシートを参照すると、p12あたりから周辺回路のお話が始まっています。回路図の例では、出力が1.05Vとなっています。
これを決定しているのが、8.2.2.2 Output Voltage Resistors Selectionに書かれている計算式です。以下に同じ式を記します。R1はVOutとVFBの間に置かれていて、R2はGNDに向かっている抵抗になります。
VOut = 0.768 * (1 + R1/R2)
そしてもう少し読み進めていくと、欲しい出力電圧に対する推奨抵抗値などが記された表があります。VOut=5Vのとき、推奨されているのはR1=54.9kΩ、R2=10.0kΩとなっています。実際に計算してみると、4.98432Vでした。
使用するエンコーダの最大許容供給電圧は5.5V、モータドライバは12Vなので、5Vを少し超えても問題なさそうです。また、先輩方の回路図を参考にすると、そこまで大きな抵抗値にしなくても良さそうです。最終的に、R1=5.9kΩ、R2=1.07kΩにすることにしました。
この値の経緯などを忘れないように、回路図に書き込んでおきます。右側にテキスト入力モードのボタンがあるので、選択して回路図中をクリックすると以下のような画面が出てきます。
入力したらOKボタンをクリックして配置しましょう。抵抗のラベルは、メモの計算式と合わせるために書き込んでいます。また、コンデンサーの値は他の部品に合わせて10µFとします。
コイルのインダクタンスの計算は、p14にある式(4)を使います。電流値に関する計算式ですが、入れ替えてインダクタンスLに関する式にすると次のようになります。
L = {VOut*(VIn - VOut)} / (VIn*fSW*I)
式中の変数、VOutは5V、VInは7.4Vとなります。また、電流は1Aを想定します。残るスイッチング周波数fSWは、データシートp14にて580kHzを使うように指示されています。以上計算した結果、Lは2.8µHとなりました。
しかしここで、データシートp13から14にかけて描かれている表8-2を見ると、出力電圧が5Vの時に推奨されているコイルの値は最小3.3µH、最大4.7µHとなっています。典型的な値は4.7µHだそうです。
この、4.7µHの時の電流値Iを計算してみると、0.594Aとなりました。3.3µHの場合は0.847Aとなりました。電流はある程度確保したい気がするので、今回は3.3µHのコイルを採用したいと思います。
まとめ
以上、電源回路の抵抗値などの計算をしました。
全体的に、下記の画像のようになりました。
次回はバッテリー電圧監視周りの回路についてお話ししていきます。