自作マイクロマウス研修(kaede)

走行モータの選定 – 自作マイクロマウス研修(kaede) Part1

自作マイクロマウス研修(kaede)

こんにちはkeadeです

前回、自作マウスのコンセプトを「ブラシレスモータを用いたダイレクトドライブのマイクロマウス」に決定しました。ということで今回は、走行に使用するブラシレスモータの選定について書いていこうと思います。(同時にマイクロマウス競技(旧ハーフサイズ)参加かクラシックサイズ参加かもここで決定します。)

ブラシレスといっても基本的な選定の流れはブラシモータやステッピングモータと同じです。ちょうどオリエンタルモータのモータ選定のページがあったので、この流れでまとめてみたいと思います。

マイクロマウスのスペックについて

モータの選定の前に、前回参加から期間が空いているので、参考となるマウスのスペックについて調べました。全日本大会に参加したマウスのスペックはpdfシート(リンクは2019年大会)にまとめられているのを閲覧することができます。

また、各参加者でブログに情報をまとめられている方も多く、2019年大会の優勝者の方のブログにはより詳細な走行スペックがまとめられていたので、これも参考にします。

2019年マイクロマウス競技(旧ハーフサイズ)優勝のFantom2ndのパラメータ(走行パラメータは2018年の情報)、2019年クラシックマウス競技優勝の華金、のうち、モータ選定に関わりそうなものをまとめると以下のようになりました。

単位 旧ハーフサイズ クラシックサイズ
直線加速度 m/s2 17 25
直線最大速度 m/s 5 6
機体重量 g 11.8 72
車輪半径 mm 6.25 12

とても速いですね・・・人類にはとても真似できませんが、モータ選定の参考には使用したいと思います。特に重量や車輪半径は他の参加者の方もこれくらいの値が多いようです。

駆動機構の決定

  • 駆動方法・・・今回は、ダイレクトドライブでの駆動です。
  • 機体重量・・・上の表の値をそのまま採用したいと思います。
  • 車輪半径・・・上の表の値をそのまま採用したいと思います。
  • 摩擦・・・2輪マウスや吸引のスカートがある場合、走行時の路面との摩擦がそれなりにあるはずですが、概算のために一旦無視します。また、加速度が大きくなってくるとタイヤと路面とのスリップも発生しますが、これも一旦無視します。

要求仕様の確認

  • 速度・・・上の表の値の半分程度を目標にします。
  • 加速度・・・1G程度(9.8m/s2)が目標です。
  • バッテリー電圧・・・クラシックの場合はLipo2セル、マイクロマウス(旧ハーフサイズ)の場合は1セルで選定します。
  • 最大電流・・・バッテリーの容量とCレートによりますが、バッテリーの選定はまだのため、大きすぎない値であれば問題ないことにします。

負荷計算

ここまでの仕様から、モータ軸でのトルクと速度を算出します。概算のため、車輪のイナーシャを一旦無視すると、機体の加速に必要な力からモータトルクは以下のようになります。また、最大回転数は直線速度の値から以下のようになります。計算方法は「こじままうす開発ノート」のブログ記事がとても参考になります。

単位 旧ハーフサイズ クラシック
目標直線加速度 m/s2 9.8 9.8
目標直線最大速度 m/s 2.5 3
目標機体重量 g 11.8 72
目標車輪半径 mm 6.25 12
加速に必要な力 mN 115.64 705.6
加速に必要なトルク(片モータ) mNm 0.361375 4.2336
最大回転数 rpm 3819.718634 2387.324146

モータ機種の選定

ここまででおおよその要求仕様が決まったので、モータの選定をしていきます。小型のモータについては詳細スペックが記載されていないモータも多く、その場合は実際に購入して試す必要があります。ブラシレスモータはマイクロマウスでの前例も少ないため、まずは詳細スペックが掲載されているメーカから選びました。

スペックをざっと眺めて決定したモータが2214S006BXTRです。クラシック用です。マイクロマウス(旧ハーフサイズ)向けは詳細スペックが記載されているモータの中では該当するものが見つけられませんでした。次章で要求仕様を満たしているか改めて確認していきます。

引用元:ブラシレスDCモータ Series 2214 … BXT R

選定計算

  • 重量・・・25.5 g ×2個で51gあるので機体重量に対して少し重いですが、なんとかなるレベルだと思います。
  • 電圧・・・定格電圧6 VなのでLipo2セル(最低電圧6 V~6.4 V程度)であれば、定格で動かすように制御できます
  • 速度・加速度・・・
    逆起電圧定数が1 mV/rpmなので最大速度時の逆起電圧が2.39 Vとなります。
    電流定数(トルク定数の逆数)が0.104 A/mNmなので、最大加速時のトルクは0.440 Aとなります。
    端子間抵抗が2.42Ωなので、これを使うと最大速度で最大加速時の必要電圧は3.46 Vとなり、バッテリ電圧は十分そうです。(厳密にはモータドライバの抵抗なども考慮する必要があります。)
  • 最大回転数・・・機械的な最大回転数は10000rpmなので、機体の最大速度時でも問題ありません
  • 最大軸負荷・・・マウスの重量に対して十分小さいのでモータ軸にそのままタイヤをつけて問題なさそうです
  • モータの電気的時定数・・・271μH、2.42Ωなので約112μ秒となります。この値はモータドライバの選定の時に考慮する必要が出てきます。

また、FaulhaberのブラシレスDCモータはコギングが少なく制御性が良さそうです。

おおよそ問題なさそうなため、このモータに決定したいと思います。

 

終わりに

今回は、モータの選定について書きました。次回はモータドライバの選定かマイコンの開発環境の構築かになると思います。基板を起こせないうちに春節に突入したので、先にシミュレータを進めるのもありですね・・

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