アールティとデンソーウェーブ、人協働ロボット「COBOTTA® PRO」を 活用した冷凍フライ投入システムを開発

~危険作業・人手作業の負担軽減に取り組む 「FOOMA JAPAN 2022」でデモを初披露~
アールティは食品工場における危険作業・人手作業の負担軽減に取り組むため、株式会社デンソーウェーブ(愛知県知多郡、代表取締役社長 相良隆義、以下デンソーウェーブ)と協力し、同社が開発した人協働ロボット「COBOTTA PRO」を使った冷凍フライ投入システムを開発しました。
2022年6月7日(火)から10日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「FOOMA JAPAN 2022」デンソーウェーブブース(7G-20)にて、開発したシステムのデモを展示します。
開発の背景
世界中で協働ロボットの需要が高まり活用分野も広がるなか、従来のロボットより精度や汎用性を求める声が高まってきたことから、デンソーウェーブは高精度な動作を実現し、協働時・非協働時の速度切り替えが可能な人協働ロボット「COBOTTA PRO(読み:コボッタ プロ)」を開発し、2021年10月に発表しました(※1)。
自動車製造や電子デバイスなどの工業分野のみならず、食品分野でも協働ロボットの普及を進めるため、不定形な食材を見分ける画像認識技術や、食品工場への協働ロボット導入経験を持つアールティが、デンソーウェーブと協力して「COBOTTA PRO」を使った食品工場向けの自動化ソリューション開発に取り組み、自動フライヤーに食材(冷凍フライ)を投入するシステムを開発しました。
デンソーウェーブは、デンソーウェーブ製アームロボットのROS 2用制御パッケージ(※2)を開発して「COBOTTA PRO」の技術情報とともにアールティへ提供し、アールティはそれらを活用してハンド(エンドエフェクタ)や制御プログラム、周辺設備などのシステム一式を開発しました。
アールティが人型協働ロボット「Foodly」の開発などで培った画像認識技術も応用されています。
※1 参考:2021/10/19発表 デンソーウェーブ リリース
※2 ROS 2についてはプレスリリース(PDF)の別紙参照
冷凍フライ投入システムの概要
食品工場において人手で行われている、冷凍フライの投入作業(ピッキングからフライヤー投入まで)を自動化するシステムです。
番重(食品用コンテナ)にばら積みされた冷凍フライをカメラでひとつずつ認識してアームロボットがコンベア上へピック&プレースします。
コンベアはシステムと連携しており、ピッキング状況を把握しながら自動フライヤーに投入します。
アームロボット本体は「COBOTTA PRO」を使用し、ばら積み食材取り出しのビジョンシステム、ロボットの軌道生成プログラム、ロボットのハンド部分、投入用コンベアはアールティが開発した専用のものを使用しています。
バラ積みの状態や、溜まったパン粉などで境目が分かりづらい状態でも冷凍フライをひとつひとつ認識することができます。
「COBOTTA PRO」は協働時・非協働時の速度設定と切り替えが可能なため、協働時の速度設定であれば安全柵なしで人との協働作業が可能です。
ハンドの制御においてベッコフオートメーション(株)の開発した通信技術EtherCATを採用することで、作業中のリアルタイムな高速通信を可能にしています。
システムの動作手順 ※開発中の画像です
冷凍フライ投入システム導入による現場のメリット
食品工場においてフライの製造現場は、蒸し暑い作業場での熱中症や、高温の油によるやけどなどの労災のリスクが高い場所です。
またお弁当工場では盛り付け作業などよりも早いタイミングでフライの準備が始まるため、早朝の勤務が多く、パートなどの働き手が集まりにくいという特徴もあります。
人手不足や労災のリスクなどの課題を抱え作業の省人化が望まれる一方で、食品工場は作業場が狭いことが多く、大がかりな自動化装置の導入が難しい場合があります。
今回開発した冷凍フライ投入システムは油の近くで行う投入作業をロボットに置き換えることで苦渋作業を軽減し、労災のリスク低減が期待できます。
また協働時のスピードであれば柵を必要とせず、ロボット自体も非常にコンパクトな設計で省スペースでの設置が可能です。
キャスター付きの台で、作業場を洗浄する際にも移動が簡単です。
FOOMA JAPAN 2022でデモ展示
2022年6月7日(火)から10日(金)まで東京ビッグサイトで開催されるFOOMA JAPAN 2022(国際食品工業展)のデンソーウェーブブース(東7ホール 7G-20)において、冷凍フライ投入システムの常時デモ展示を行います。
デンソーウェーブブースの展示詳細
今後の展望
現時点ではCOBOTTA PROの行う作業は冷凍フライのピック&プレースのみですが、今後は番重の段替え作業なども同じ機体で行えるようにし、さらなる作業負担の軽減を目指したいと考えています。また、投入用コンベアとの連携だけでなく、自動フライヤーとの連携も検討しています。相互に連携することで、例えば油の温度に合わせて投入ペースを自動調整して揚げ不足や揚げすぎによるロスを防ぐなど、生産性向上に繋がるシステムの開発が期待できます。
アールティはシステムのデモ展示を通じて、フライの製造現場に課題を抱えロボット導入を検討しているユーザー企業との繋がりを作り、現場でのテストを進めていきたいと考えています。また今回のシステムに限らず、食品工場のニーズに合わせた製品開発を続け、食品工場の課題解決に貢献してまいります。
※本ページに記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
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